2011年4月11日月曜日

津波

30分経った頃、ようやくお客さんの避難も終わった。

自分達の私物もあったので1度映画館に全員で集合。

とりあえずロッカーの鍵を持っている人は私物を持って着替える事にした。
私は何もない…
着の身着のままだった。
鍵は2階の映画館があるブースに置いてきたし、
その鍵がないと車の鍵も取り出せない。
携帯も、財布も鍵と同じ所にあったから何もできなかった。

取りに戻ろうとすると店長から余震がもう少し治まるまで危険だからもう少しだけ待って欲しいとの事。
ただ、家族の安全も分からない今は何としても携帯が欲しい私達。
だから必死に店長を説得しようとしている時だった…




『津波が来てるぞ!!早くココまで上ってこい!!』

『早くしろ!!』


ふと見ると他の店舗のスタッフはいない。
でもココは仙台港から2㎞以上離れた場所。
だからここまで来るはずがないと思っていた…

きっとそれは被災した方々も同じように思った事だと思う…


立体駐車場の階段を上り、2階、3階と脚をすすめた。
ふと近くを流れる川を見ると…
普段見えるはずもない川が真っ黒になって逆流していた。

『……何あれ……??うそでしょ……』

4階まで上った時”津波だ”とはっきり分かった。
それは先輩が言った一言から…
『船が流れて来てる?車も?あれそうだよな…?』


もう1度全員で川を見直す。

『本当だ……』

真っ黒の川に白や青の物が流れていた…
外は雨が降り、寒さで雪に変わっていたけど、それでもそこから目が離せなかった。

数分後、川は氾濫し住宅地や田んぼに流れて行っていた。

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