走り出して数秒後、一番近くの劇場に到着。
最初の揺れでゴミ箱が飛び出していた。
その時からずっと冷静だった。
観音開きの扉。
2つとも開けるより1つでも開けて回った方が他の劇場に早くたどりつける。
そう思って、1つだけ開けながらひたすら走った。
スゴい揺れ。
でもひたすら走った。
まっすぐ走れない。
でも走った。
大きく息をするとホコリや塵で喉がイガイガした。
でも走った。
3つめの劇場に着いた時、揺れが少し大きくなった。
扉の重さで飛ばされそうになる。
フラフラになりながら、
足下もおぼつかなかった…
でも身体全体で押さえつけて何とか開ける。
反対側から来たAも揺れでまともに走れてなかった。
でも彼女も必死だった。
最後の劇場。
Aは扉に飛ばされそうになって、でも必死に扉にしがみついて地震に堪えていた。
彼女の側に歩みより、2人で必死に扉を開けた。
少しだけ揺れがおさまる。
それを見計らったかのように、お客さんが各劇場から飛び出してくる。
大きな声で
『出口はこちらです。足下に気を付けてください。』と気づくと叫んでいた。
Aと他のスタッフと合流しようとしたその瞬間…
また大きな揺れがやってきた。
映画を見に来ていた中学生達が大きな声で『キャー』と叫ぶ。
その子達を捕まえて、
『こっちにきなさい!!』と壁際に立たせた。
後からやってきたお客さん達も戸惑っていた…
また大きな声で
『壁際によって下さい。通路の中心には危ないから立たないで、揺れがおさまるまで壁際によって下さい。』と叫んでいた。
喉が痛い。
でも叫んでた。
怖かったからかもしれない。
でも頭の中では『みんな不安だ。誰かが冷静じゃないといけない。大丈夫これは乗り切れる。』とずっと自分に言い聞かせた。
0 件のコメント:
コメントを投稿