2011年4月2日土曜日

冷静

走り出して数秒後、一番近くの劇場に到着。
最初の揺れでゴミ箱が飛び出していた。

その時からずっと冷静だった。


観音開きの扉。
2つとも開けるより1つでも開けて回った方が他の劇場に早くたどりつける。
そう思って、1つだけ開けながらひたすら走った。

スゴい揺れ。

でもひたすら走った。

まっすぐ走れない。

でも走った。

大きく息をするとホコリや塵で喉がイガイガした。

でも走った。

3つめの劇場に着いた時、揺れが少し大きくなった。
扉の重さで飛ばされそうになる。
フラフラになりながら、
足下もおぼつかなかった…
でも身体全体で押さえつけて何とか開ける。

反対側から来たAも揺れでまともに走れてなかった。
でも彼女も必死だった。
最後の劇場。
Aは扉に飛ばされそうになって、でも必死に扉にしがみついて地震に堪えていた。
彼女の側に歩みより、2人で必死に扉を開けた。

少しだけ揺れがおさまる。
それを見計らったかのように、お客さんが各劇場から飛び出してくる。


大きな声で

『出口はこちらです。足下に気を付けてください。』と気づくと叫んでいた。


Aと他のスタッフと合流しようとしたその瞬間…
また大きな揺れがやってきた。

映画を見に来ていた中学生達が大きな声で『キャー』と叫ぶ。
その子達を捕まえて、

『こっちにきなさい!!』と壁際に立たせた。

後からやってきたお客さん達も戸惑っていた…

また大きな声で

『壁際によって下さい。通路の中心には危ないから立たないで、揺れがおさまるまで壁際によって下さい。』と叫んでいた。


喉が痛い。
でも叫んでた。
怖かったからかもしれない。
でも頭の中では『みんな不安だ。誰かが冷静じゃないといけない。大丈夫これは乗り切れる。』とずっと自分に言い聞かせた。

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