30分経った頃、ようやくお客さんの避難も終わった。
自分達の私物もあったので1度映画館に全員で集合。
とりあえずロッカーの鍵を持っている人は私物を持って着替える事にした。
私は何もない…
着の身着のままだった。
鍵は2階の映画館があるブースに置いてきたし、
その鍵がないと車の鍵も取り出せない。
携帯も、財布も鍵と同じ所にあったから何もできなかった。
取りに戻ろうとすると店長から余震がもう少し治まるまで危険だからもう少しだけ待って欲しいとの事。
ただ、家族の安全も分からない今は何としても携帯が欲しい私達。
だから必死に店長を説得しようとしている時だった…
『津波が来てるぞ!!早くココまで上ってこい!!』
『早くしろ!!』
ふと見ると他の店舗のスタッフはいない。
でもココは仙台港から2㎞以上離れた場所。
だからここまで来るはずがないと思っていた…
きっとそれは被災した方々も同じように思った事だと思う…
立体駐車場の階段を上り、2階、3階と脚をすすめた。
ふと近くを流れる川を見ると…
普段見えるはずもない川が真っ黒になって逆流していた。
『……何あれ……??うそでしょ……』
4階まで上った時”津波だ”とはっきり分かった。
それは先輩が言った一言から…
『船が流れて来てる?車も?あれそうだよな…?』
もう1度全員で川を見直す。
『本当だ……』
真っ黒の川に白や青の物が流れていた…
外は雨が降り、寒さで雪に変わっていたけど、それでもそこから目が離せなかった。
数分後、川は氾濫し住宅地や田んぼに流れて行っていた。
2011年4月7日木曜日
必死
2分以上の揺れ。
長かった地震がようやくおさまった。
お客さんを一塊にして、階段を下りて1階に出て避難するように説明した後、
すぐに各劇場にお客さんが残っていないかまた走り出した。
出勤しているスタッフ総出で各劇場に入る。
最初に入った劇場で一瞬凍り付いた…
壁が…
天井が…
崩れてる。
立ち止まってしまったけど、すぐに大きな声で叫んだ。
『どなたかいらっしゃいますか?いらっしゃったら返事をして下さい!!』
さらに劇場内に入って確認。
携帯の忘れ物があったのですぐに拾って次の劇場に…
何度も何度も叫んだ。
運良く誰も劇場内にはいなかった。
スプリンクラーが壊れ通路はびしょびしょ。
壁や天井が崩れた事で館内はホコリだらけ、それでもスタッフはみんな必死だった。
店長が『全員そろったね。さあ、俺たちも避難しよう!』
外の駐車場に向かって今度は自分たちも避難。
でも外の駐車場ももうパニック状態だった。
他の店舗スタッフ、お客さんはもう右往左往。
余震が起るたびに叫び声が聞こえる。
でもシネマのスタッフはもう1度館内に戻り、まだ館内に残っているお客さんの誘導を始めた。
『駐車場中央まで進んで下さい。足下には気を付けてください。』
もう何もかもが必死。
館内のお客様の誘導が終わると、他店舗の社員から6mの津波が来るから今度は小学校に誘導してとの指示。(その後10mが来るから急げとの指示があった。)
お客さんと何組かに分けて、移動させる。
信号も止まっていたので、自分たちの手で止めてお客さんを小学校までなんとか移動させた。
長かった地震がようやくおさまった。
お客さんを一塊にして、階段を下りて1階に出て避難するように説明した後、
すぐに各劇場にお客さんが残っていないかまた走り出した。
出勤しているスタッフ総出で各劇場に入る。
最初に入った劇場で一瞬凍り付いた…
壁が…
天井が…
崩れてる。
立ち止まってしまったけど、すぐに大きな声で叫んだ。
『どなたかいらっしゃいますか?いらっしゃったら返事をして下さい!!』
さらに劇場内に入って確認。
携帯の忘れ物があったのですぐに拾って次の劇場に…
何度も何度も叫んだ。
運良く誰も劇場内にはいなかった。
スプリンクラーが壊れ通路はびしょびしょ。
壁や天井が崩れた事で館内はホコリだらけ、それでもスタッフはみんな必死だった。
店長が『全員そろったね。さあ、俺たちも避難しよう!』
外の駐車場に向かって今度は自分たちも避難。
でも外の駐車場ももうパニック状態だった。
他の店舗スタッフ、お客さんはもう右往左往。
余震が起るたびに叫び声が聞こえる。
でもシネマのスタッフはもう1度館内に戻り、まだ館内に残っているお客さんの誘導を始めた。
『駐車場中央まで進んで下さい。足下には気を付けてください。』
もう何もかもが必死。
館内のお客様の誘導が終わると、他店舗の社員から6mの津波が来るから今度は小学校に誘導してとの指示。(その後10mが来るから急げとの指示があった。)
お客さんと何組かに分けて、移動させる。
信号も止まっていたので、自分たちの手で止めてお客さんを小学校までなんとか移動させた。
2011年4月2日土曜日
冷静
走り出して数秒後、一番近くの劇場に到着。
最初の揺れでゴミ箱が飛び出していた。
その時からずっと冷静だった。
観音開きの扉。
2つとも開けるより1つでも開けて回った方が他の劇場に早くたどりつける。
そう思って、1つだけ開けながらひたすら走った。
スゴい揺れ。
でもひたすら走った。
まっすぐ走れない。
でも走った。
大きく息をするとホコリや塵で喉がイガイガした。
でも走った。
3つめの劇場に着いた時、揺れが少し大きくなった。
扉の重さで飛ばされそうになる。
フラフラになりながら、
足下もおぼつかなかった…
でも身体全体で押さえつけて何とか開ける。
反対側から来たAも揺れでまともに走れてなかった。
でも彼女も必死だった。
最後の劇場。
Aは扉に飛ばされそうになって、でも必死に扉にしがみついて地震に堪えていた。
彼女の側に歩みより、2人で必死に扉を開けた。
少しだけ揺れがおさまる。
それを見計らったかのように、お客さんが各劇場から飛び出してくる。
大きな声で
『出口はこちらです。足下に気を付けてください。』と気づくと叫んでいた。
Aと他のスタッフと合流しようとしたその瞬間…
また大きな揺れがやってきた。
映画を見に来ていた中学生達が大きな声で『キャー』と叫ぶ。
その子達を捕まえて、
『こっちにきなさい!!』と壁際に立たせた。
後からやってきたお客さん達も戸惑っていた…
また大きな声で
『壁際によって下さい。通路の中心には危ないから立たないで、揺れがおさまるまで壁際によって下さい。』と叫んでいた。
喉が痛い。
でも叫んでた。
怖かったからかもしれない。
でも頭の中では『みんな不安だ。誰かが冷静じゃないといけない。大丈夫これは乗り切れる。』とずっと自分に言い聞かせた。
最初の揺れでゴミ箱が飛び出していた。
その時からずっと冷静だった。
観音開きの扉。
2つとも開けるより1つでも開けて回った方が他の劇場に早くたどりつける。
そう思って、1つだけ開けながらひたすら走った。
スゴい揺れ。
でもひたすら走った。
まっすぐ走れない。
でも走った。
大きく息をするとホコリや塵で喉がイガイガした。
でも走った。
3つめの劇場に着いた時、揺れが少し大きくなった。
扉の重さで飛ばされそうになる。
フラフラになりながら、
足下もおぼつかなかった…
でも身体全体で押さえつけて何とか開ける。
反対側から来たAも揺れでまともに走れてなかった。
でも彼女も必死だった。
最後の劇場。
Aは扉に飛ばされそうになって、でも必死に扉にしがみついて地震に堪えていた。
彼女の側に歩みより、2人で必死に扉を開けた。
少しだけ揺れがおさまる。
それを見計らったかのように、お客さんが各劇場から飛び出してくる。
大きな声で
『出口はこちらです。足下に気を付けてください。』と気づくと叫んでいた。
Aと他のスタッフと合流しようとしたその瞬間…
また大きな揺れがやってきた。
映画を見に来ていた中学生達が大きな声で『キャー』と叫ぶ。
その子達を捕まえて、
『こっちにきなさい!!』と壁際に立たせた。
後からやってきたお客さん達も戸惑っていた…
また大きな声で
『壁際によって下さい。通路の中心には危ないから立たないで、揺れがおさまるまで壁際によって下さい。』と叫んでいた。
喉が痛い。
でも叫んでた。
怖かったからかもしれない。
でも頭の中では『みんな不安だ。誰かが冷静じゃないといけない。大丈夫これは乗り切れる。』とずっと自分に言い聞かせた。
私の世界が変わった日 3.11
3月11日(金)
何もない、普通の日。
いつも通りの感じで起きて、
いつも通りに家事をして、
いつも通りにバイトの準備をして出勤。
いつも通りのメンバーでいつも通りに仕事をして、
土曜日に公開の作品の話をしながら、
その作品のグッツ販売の準備とかしながら、
明日は混みますかねーとか言いながら帰宅するはずだった。
その日は12時からの出勤。
土日に備えてやる事も多かった。
バイトで仲の良い子と話をしながら、楽しく甘い香りのするキャラメルポップコーンを黙々と作ってた。
そう黙々と…
1時間が過ぎ…
2時間が過ぎ…
その日の退勤時間は21時。
時間が経つのが遅いなーと思いながらも作業は続いた。
それから40分…
最初は気づかなかった。
誰かがインカムで『地震だ!!』と叫ぶまでは…
『大きい地震が来る。』咄嗟にそう思った。
誰かもそう思ったらしく、すぐに『劇場の扉を開けて!!!』とインカムが入った。
仲の良い子がその時は各劇場の清掃担当。
すぐに私は彼女1人じゃ無理だと思って…
影で作業していた私はそこを飛び出しながら、
『私も手伝う。9番シアターから開けるから、反対から開けて!!』と走りながらインカムで伝える。
これから私の世界が大きく変るとも知らずに…
何もない、普通の日。
いつも通りの感じで起きて、
いつも通りに家事をして、
いつも通りにバイトの準備をして出勤。
いつも通りのメンバーでいつも通りに仕事をして、
土曜日に公開の作品の話をしながら、
その作品のグッツ販売の準備とかしながら、
明日は混みますかねーとか言いながら帰宅するはずだった。
その日は12時からの出勤。
土日に備えてやる事も多かった。
バイトで仲の良い子と話をしながら、楽しく甘い香りのするキャラメルポップコーンを黙々と作ってた。
そう黙々と…
1時間が過ぎ…
2時間が過ぎ…
その日の退勤時間は21時。
時間が経つのが遅いなーと思いながらも作業は続いた。
それから40分…
最初は気づかなかった。
誰かがインカムで『地震だ!!』と叫ぶまでは…
『大きい地震が来る。』咄嗟にそう思った。
誰かもそう思ったらしく、すぐに『劇場の扉を開けて!!!』とインカムが入った。
仲の良い子がその時は各劇場の清掃担当。
すぐに私は彼女1人じゃ無理だと思って…
影で作業していた私はそこを飛び出しながら、
『私も手伝う。9番シアターから開けるから、反対から開けて!!』と走りながらインカムで伝える。
これから私の世界が大きく変るとも知らずに…
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